「苦手なコストカット」を確実に行えるか
――第一三共は2030年度までの中期経営計画で、売上高3兆円以上、営業益6000億円以上を目標に掲げています。売上高のうち2.3兆円はがん領域で稼ぐ計画です。この計画の達成可能性について、どうみていますか。
30年度というとまだ時間があるようにみえるが、薬の発売までに時間のかかる製薬の世界では「あと4年しかない」とも言える。すでに製品になっているものや発売が近いもので売上高を作っていかないといけないので、「3兆円」「2.3兆円」という数字を達成するためには、エンハーツとダトロウェイがどのくらい伸びるかが焦点となる。とくに注目すべきは、ダトロウェイのポテンシャルだろう。
営業利益の目標である6000億円は一見、非常に意欲的だ(編集部注・25年度の営業利益は2580億円)。ただ細かく見てみると、26〜29年度までは横ばいで、30年度だけボコっと利益が出る、という想定になっているようだ。
注意したいのは、第一三共の営業利益の目標値が、IFRS(国際会計基準)ベースであること。つまり資産売却などによる一過性の譲渡益を含むことが可能だ。
例えば27年度は、エンハーツの開発・販売で提携する英アストラゼネカからのマイルストーン収入がなくなることで、900億円ほどの減益要因になる。そのタイミングで、(サントリーホールディングスへの売却を発表した)第一三共ヘルスケアの譲渡益が推定約1500億円計上される。利益が著しくへこまないよう、うまく管理しているように見える。
銀座のブルガリビルが有名だが、第一三共は大きな売却益をつくれそうな資産をまだ保有している。そういう意味では「万が一」のときのための保険がかかった目標なのではないか。
―― 経営陣がADC製品への絶対的な自信からこの目標値を出したようには思えない、と。
よい意味でのストレッチに期待したいところだ。他社ではIFRSベースではなく、(会社が独自に設定した、本業から創出された営業利益を示す基準である)コア営業利益の目標を出していることが多く、コア営業利益で6000億円であれば「すごいな」と思うところだが……。
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