小説だけではありません。アニメや漫画でも、同じ楽しみ方ができます。日本語には、性的な意味で「食べられる」という表現があります。以前、あるアニメで、こんなやりとりがありました。
「あいつだって男なんだから、油断していると食べられるぞ」
「えっ、丸のみされるの?」
「そういう意味じゃないよ!」
2つの意味が食い違うことで、笑いが生まれている場面です。
これを見たとき、僕は気になりました。「英語ではどう訳しているんだろう。『食べる』をそのままeatにしても、この笑いは成立しないのではないか」と。
アニメの「食べられるぞ」は、英語でどうなる?
僕が見た英語字幕では、eatではなく、devourという単語が使われていました。devourは「むさぼり食う」という意味です。それだけで常に性的な意味になるわけではありませんが、「相手をむさぼるほど強く求める」「欲望を込めて見つめる」といった比喩にもつながる言葉です。
そのため、文脈によっては、文字どおり「食べる」という意味と、相手を激しく求めるという意味を重ねることができます。
翻訳家が守ろうとしたのは、日本語の「食べる」という単語そのものではありません。「二つの意味が重なり、それを一人だけ勘違いする」という会話の仕組みです。
単語を一つ覚えるにしても、こういう形で出会うと、なかなか忘れません。


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