また、8年間、コーポレート・クオリティ部門の責任者を務めてきました。ですから、911の品質とはいかなるものであるかを深く理解しています。それらの経験から、顧客が911に期待するものを把握しています。開発にあたっては顧客のニーズが何なのかを知ることが、カギだと思います。
おっしゃるとおり私の仕事には、大きな責任が伴います。でも、素晴らしいチームがいます。営業・マーケティング部門があり、お客様のニーズを把握し、顧客と密接に繋がっています。研究開発部門にも素晴らしいチームがあり、911や718がどうあるべきかを知っています。
私個人の問題ではなく、チームの問題であり、会社の問題です。そして、会社には多くの経験があります。チームとして、会社として、将来にわたって911をつくり続けることができるだけの人材や知識や経験が豊富に揃っているのです。
911の乗り味、ポルシェらしさとは
――ある日本の自動車メーカーのエンジニアが、何十年もかけて研究してもいまだ911の乗り味の秘密がわからないとこぼしていました。何か秘伝のレシピのようなものがあるのでしょうか。ポルシェネスというものがあれば、教えてください。
モーザー:答えはそう単純なものではありません。なぜなら、クルマは単一の要素によってできているものではないからです。どのようにサスペンションを開発したか、どのようにステアリングを開発したかなど、複数の要素の組み合わせです。
エンジンのパワーだけではなく、ハンドリング、フィーリング、精度、そして挙動の予測のしやすさ、といった要素も重要です。それらが混ざり合ってポルシェのDNAを形成しています。したがって答えはとても複雑なものです。
私の妻が「マカン」のEVに乗っているのですが、時々それを借りて乗ると、これがすごくいいんですね。新しい「カイエン」のEVも同様で、SUVであっても紛れもなくポルシェのスポーツカーなのです。ポルシェのDNAはすべてのモデルに共通するものです。


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