実際に生活を始めて驚いたのは、その手厚いサポートとコストパフォーマンスだ。食事代やランドリー使用料は別料金となるものの、電気代込みで光熱費・家賃を合わせた負担額は「月額1万5000円」という破格の安さである。
「社会人1年目は環境の変化が激しく、慌ただしい日々が続きます。もしこの寮がなかったら、自己管理も含めて相当厳しかったと思います。物価高や家賃が高騰するなかで、この金額でこれほどの設備を利用できるのは本当に助かります」と笑顔を見せる。
さらに森岡氏が最大のメリットとして挙げるのが、自然に生まれるコミュニケーションの場だ。
「食堂や大浴場に行けば、必ず同期や先輩がいます。『一緒にご飯食べよう』となり、今日どんな仕事をしたかを語り合ったり、他部署やカンパニーの情報交換をしたりできます。悩みがあればお風呂場で先輩に相談に乗ってもらうことも多いです。休日には寮のカーシェアサービスを利用して、みんなでゴルフに行ったり出かけたりすることもあります」
人事・総務部に所属する森岡氏にとって、異なる部署で働く同期や先輩の生の声を聞ける環境は、業務上の大きな糧にもなっている。自室で一人になれる安心感を担保されつつ、扉を開ければすぐに支えてくれる仲間がいる。子どもの頃からスマホやSNSに親しむZ世代にとっても、この程よい距離感のリアルな繋がりは、新鮮であり心地よいようだ。
“寮長”は伊藤忠商事のOBが務める
こうした日吉寮の快適な空間を陰で支えているのが、住み込みの夫婦や管理スタッフ、同社のOBが務める「寮長」の存在だ。
現在、日吉寮の寮長を務める加藤久尚氏は、長年、伊藤忠商事に勤務した大ベテランである。加藤氏を含めた2名のOB寮長が交代制で勤務し、若手社員たちの生活を見守っている。
「私たちの役割は生活指導ですが、一番大切なのは会社では見せない彼らの素顔に接し、寄り添うことです」と加藤氏は語る。


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