「小さい子どもは自分なりのものの見方であらゆるものを見ています。成長するにつれてその扉は閉じていきますが、中高生はまだ開きやすい段階です。私の出張授業でも、アート作品をいろんな見方で見た後、感じたことを100文字で綴るとか、制作物で表現するといったことを実践しています。『ここでは、作品からどんな発想をしてもいいんだ』とわかると、子どもたちは個性豊かなもの、面白い文章をどんどん出してきます」
美術以外の教科でも子どものアウトプットを促す
大切なのは、子どもたちが「ここでは自分のものの見方を出していい」と感じられる場づくりであり、それを助けるのがアート作品だ。
「例えば、“絵画に一言ツッコミを入れる”。これをやると笑いも起こります。すると、子どもたちも気負わず感じたこと、気づいたことを言ってみようという気持ちになるのです。自由な鑑賞は美術に限らず、さまざまな教科で取り入れることができると思います。国語でこれを取り入れたら、意見を言いやすくなったという学校の例も聞きます」
感性の扉を開くこと。それは子どもだけでなく、大人にとっても大切なことかもしれない。そのコツを末永氏はこう教えてくれた。
「アート作品に限らず、日常の風景や物事をアウトプット鑑賞してみるのもおすすめです。私も高校生を対象に『校舎の内外を歩いて気になったものの写真を撮ってこよう』というフィールド型の授業をしています。きれいだとか好感を持った物だけでなく、気になるものの写真を各々撮ってきて、感じたことや気づいたことを話したり、文章を紡いだり。授業後、『日常の見え方が変わった』という感想をくれた生徒もいました」
感性の扉の開き方やその意義は、末永氏の近著『「いまを生きる力」を取り戻す 感性の教室』に詳しく書かれている。感性の扉を開き、自分なりのものの見方をして、問いを立て、答えを探す。その過程を楽しむことが、大人も子どもも今この瞬間を生きること、すなわち「自分の人生を歩んでいる」という実感につながることだろう。


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