INDEX
千葉県野田市で、在日30年のアメリカ人ふたりがジンを造っている。売上の8割は他社ブランドを代理製造する「OEM」で、最大の取引先はジンの本場・イギリスのスーパー。年間約43万本分を輸出する詳細は前編に書いた。
造り手は、マイケル・ピアスさんとロバート・ストックウェルさん(通称ボブさん)。剣道と忍者に憧れて来日したものの、ボブさんは、リーマン・ショックで時給数百円の倉庫作業に従事することに。しかしコロナ禍、ふたりでジン蒸溜器を組み立てるーー。
「It's just really an accident.」と笑う30年を追った。
時給数百円で、自分が企画した商品を送る
2008年秋、ロバート・ストックウェルさんことボブさんは、ユニクロの倉庫にいた。1年前まで自分がマーチャンダイザーとして企画していた商品を、時給数百円でピッキングし、梱包して送っていた。
それ以前は、タバコ会社、ユニクロを経て、ヘッドハンティングされて不動産会社で働いていた。ところが働き出して約半年後の2008年9月、リーマン・ショックが起こり、煽りを受けてリストラされてしまう。当時すでに結婚して子どももいたボブさんは、ユニクロの倉庫でアルバイトをしたり、友人のビールのブルワリーを手伝ったりしながら何とか食いつないだ。
「1年前に自分が企画していた商品を、時給数百円で送る仕事をしている現実に、『僕の人生どうなるんだろう』って。今思えば、そこが一番どん底だったかもしれません。でもその時に、自分が本当に好きなものは何だろうと考えたんです」


※ログイン後、コメント入力が可能です。