大阪で生まれ、カナダで育ったリンさん。子どもの頃はストレートヘアが流行っていて、「アジア人は黒髪ストレート」というステレオタイプに当てはめられた。当時、カーリーヘアはいじめの対象にもなり、リンさん自身も同級生から「脇毛」「アジア人なのにアフロ」などとからかわれた。
小学生のときに一度ショートカットにした際は髪が広がり、収拾がつかなくなったこともある。こうして、リンさんは13歳から縮毛矯正を始めた。カナダでは技術があまり浸透しておらず、美容院で施術を受けると1回約8万円もする高額なものだった。節約のために薬剤を買ってきて、母親に塗ってもらうことを繰り返した。
「それでも結局また根元からうねってくるのを見ると残念な気持ちになるし、友だちからは『なんでもっとがんばれないの』と言われてしまいました」
就職を機に日本に住み始めてからも、縮毛矯正は続けていた。しかし、50代の母親が今も縮毛矯正を続けているのを見て「あと30年これを続けるの?」と疑問に思った。
カーリーガールメソッドに出会う
2019年頃、海外の人が発信するYouTubeでアメリカ発祥の「カーリーガールメソッド(CGM)」を知った。ヘアスタイリストのロレイン・マッシーさんが1999年に発売した本で、このメソッドを紹介して世界中に広まった。ヘアクリームやジェルを使って、パーマのようにきれいなカールをキープする方法だ。
発信していたのは白人だったため、自分の髪でもうまくできるのか半信半疑だった。それでも、「ダメならまた縮毛矯正をすればいい」と、1年半かけて髪を伸ばした。ストレートの部分を切り落とし、うねる地毛にジェルをつけて試してみる。
鏡に映ったのは、これまでのぼさぼさの髪ではなく、きれいに形になったカール。15年間かけ続けた縮毛矯正から、地毛に変わった。「やっと本当の自分に出会えた」と思えた瞬間だった。


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