災害情報は「発表されている」だけで十分なのだろうか。重要なのは、その情報が必要な人に届き、実際の行動を変えられる形になっているかだ。とくに車での移動中は「情報の空白」が生じやすい。筆者自身、2026年8月の「令和8年8月千葉豪雨」でもそれを体験しただけに、その重要性を改めて感じている。
26年9月22日、台風25号による大雨で千葉県・北印旛沼の堤防の一部が決壊した。日付が変わろうとする深夜、千葉県成田市から同・白井市の自宅へ車で戻ろうとした筆者は、車載ナビに加えてスマートフォンの地図アプリも併用し、NHKラジオも聞いていた。
それでも「堤防決壊」という事実を知らないまま、印旛沼沿線の国道464号へ入った。もし事前に知っていれば、このルートを選ぶことはなかっただろう。
行政、道路管理者、報道、ナビ。それぞれに情報が存在する中で、なぜ行動を変えるべき1本の情報として届かなかったのか。筆者自身の失敗も1つのケースとして、次の災害に向けた改善策を考えてみたい。
台風が去り、頭の中はすでに「通常モード」に
9月21日は台風の影響を考え、筆者は無理に移動せず成田市内にとどまった。千葉県に送信所を置く短波放送「ラジオNIKKEI」でも台風の影響から非常用発電に切り替わり減力放送が行われ、25日からラジオNIKKEI第二放送を休止した。
一方、幸いにも筆者が運営に携わる成田市内のラジオ放送局には大きな被害はなく、台風が去ってからすでに24時間以上が経過していた。
9月23日は子どもの面倒を見る約束もある。その前に一度自宅へ戻り、洗濯物や生活用品を取りたい。そんな日常的な理由から、22日深夜に成田から白井へ向かった。
筆者の頭の中は、すでに「災害対応」から「通常生活」へ戻りつつあった。
そう感じていた人は、決して少なくなかったのではないか。大型連休中でもあり、台風が去れば帰宅や移動を再開しようとする。社会全体が少しずつ通常モードへ戻ろうとしていた時間帯だったと思う。
だから今回、誰かを批判したいわけではない。むしろ、誰もが台風が「ひと山越えた」と感じ始めた後にも危険が続く「時間差災害」に、どう対応するかが問題なのである。
筆者は成田市内の土屋交差点から国道464号へ入った。


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