最も厳しいのが国連法規で、新型車は2024年7月からフェーズ3となり、それまでの70dB(デシベル)以下が68dB以下へ。またモデルを継続している場合は26年7月から68dB以下へと規制が強化される。
今回のロードスター商品改良は、まさにこのタイミングに合わせたものだ。
この他、北米のSAEは当面の間、80dB以下(メキシコは79bB以下)で推移し、中国は24年7月から73bB以下となり、27年7月から71dB以下になる予定だ。
「PS」のソフトトップを開けて、秋の風を感じながら走った(
実際の計測では、テストコースに立てたマイクの間を走り抜け、その間の音圧が基準値以下であることが求められる。
ただし、数値の算出方法は、全開加速時と定常走行、それぞれの騒音値から市街地加速度の騒音値を、法規で規定された計式によってはじき出す仕組みだ。
マツダによれば、定常走行時はタイヤの影響が極めて大きく、排気と吸気も関係するという。
それが全開加速走行になると、一般的にイメージできるように排気の影響が大きくなるが、意外にも吸気が大きく寄与することがわかる。一方、タイヤの影響は少ない。
「吸気」と「排気」の改良点
では、各項目について順に見ていこう。
「吸気」については、音や空気を共鳴させて特定の周波数の音を低減するレゾネーターを新設した。場所は、エアクリーナー下のほか、エアホースにも取り付けている。
また、エアクリーナー表面で発生するボコボコ音を抑制しているほか、吸気ダクトの途中に窓を設けて吸気の変動をコントロールしているという。
次に、全開加速走行に影響が大きい「排気」について。
消音器であるサイレンサーは、車体後部のメインサイレンサーとその手前にあるプリサイレンサーの両方で容量を上げた。
2.0L車の場合、当初の試算ではサイレンサーの容量をそれまでの26Lから48Lまで拡大する必要があったそうだが、そうなると操縦安定性に影響が及んでしまう。
12年ぶりにタイヤを新開発
そのため、メインサイレンサーの内部の仕切り板で工夫するなどして脈動が分散して、これまでより広い範囲の周波数で効果を得た。そのため、最終的にメインサイレンサーの容量を34Lで抑えることができたという。
一方、1.5L車では、商品改良前の2.0L用のメインサイレンサーの活用を軸として対応している。
そして、気になるのはタイヤだ。今回、タイヤメーカーと協議しながらロードスター用を新開発している。技術的には、タイヤのトレッド面を柔らかくし、サイドウォール剛性とのバランスをとっているという。
溝は浅くなっているものの、新しいコンパウンド、内部構造、そして新しいトレッドパターンを採用したことで、発生する音や振動を抑え、グリップ性能とウェット性能を高いレベルで実現したとする。
実は、現行であるNDロードスターが14年に誕生して以来、標準タイヤに大きな変更はない。そのため、近年発展しているタイヤの各種新技術をフル活用して、ロードスター用タイヤが開発されたというわけだ。
こうして、吸気・排気・タイヤでの工夫によって、マツダは国連規則の騒音規制を見事にクリアした。
「音の楽しみ」はなくさない
一方で、静かになりすぎてしまうと、ドライビングカーとしての魅力が失われてしまいかねない。そこでマツダは、車外音ではなく車内音で工夫を凝らした。
これまで、「RS」で標準装備だったISE(インダクション・サウンド・エンハンサー)を1.5L全車に拡大装着。ハードトップのRFでは、「RFをジェントルに乗りたい」というユーザーの志向に対応して、RSのみに装備した。
ISEは、吸気の脈動を車内に引き込むことで、特にエンジンの低回転での力強さを実感して、エンジン回転数と音のリニア感を強調する仕組みだ。


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