そのときに作成したのが、新人向けの「ウェルカムブック」から始まる、5冊の教材だ。果物の品質や味を保つための基礎知識、ジュースをつくる際の具体的な手順をまとめ、200時間以上をかけて学ぶ内容である。
先ほどのキウイもその一つ。ただジューサーの使い方を教えるのではなく、なぜそのような作り方をするのかまで理解してもらう。理由が分かれば、教えられた作業をそのまま繰り返すだけでなく、状況判断が自分でできるようになるからだ。
冊子だけでなく、動画も用意した。果物の扱い方やジュースを提供する際の基準を、実際の動きを見ながら確認できるようにした。
さらに、教える側によって内容やレベルが違っていては、また同じ問題が起きる。そこで、教える側の育成にも力を入れ、「虎の巻」を用意するなどし、誰が教えても同じ水準で伝えられるようにした。
加えて、新しい店舗など、一部の店舗にカメラを設置した。オペレーションの動作を一つひとつ分解して、作業時間や回数の分析を行い、効率化する方法を検討するためだ。この映像が前編で説明した、1分半で提供する店内オペレーション構築の元にもなった。
「これまでは、一日何杯作って、提供時間までどのくらいかかっているかを、経験や勘に頼っていました。ですがデータで見える化したことで、作業の改善につなげていけました」
この教育システム導入は、現場でも満足度が高い。筆者が訪れた京都桂川店で、責任者の義基里紗(よしもとりさ)さんもこう話していた。
「ウェルカムブックや新人さんを教えるための虎の巻は教えやすく、役に立っています」
教材や動画、すなわち「虎の巻」は、全国の店舗で使われている。教育の仕組みを見直して以降、既存店の売り上げも改善したという。
果実を知り、好きな人を増やす
青木フルーツでは現在、スタッフがさらに果物に関する専門的な知識を身につけるため、「AOKIフルーツスペシャリスト」という資格制度をもうけている。すべてのスタッフが「果物のプロ」として、客に本当のおいしさや可能性を伝えられるようにすることが狙いだ。


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