知識を深め、一人ひとりが自信を持ってフルーツを勧められるようになると、接客や提案にも生きてくるという。階級は初級ブロンズ、中級シルバー、上級ゴールドに分けられており、最上位のゴールドバッジを持つ社員は20人いる。
さらに今年からは、「フルーツマイスター講座」も始めた。東北大学農学部の教授を招き、果樹の育て方から品種、気候変動への対応まで学び、試験に合格した人をマイスターとして認定する。会長自身も「マイスター」の一人だ。
「もし、大学生のアルバイトスタッフが卒業で辞めたとしても、果物に少しでも詳しくなって、それを将来の生活に生かしてくれたらいい」
果汁工房果琳で人を育てることは、会社にとって必要な戦力を増やすだけで終わらせない。果物を知る人を増やし、好きになり、その魅力を自分の言葉で語れる人を増やしていく。そんな人材育成を目指している。
「生の果物をその場でジュースにする」
言葉にすればシンプルな商売だが、実際にはそう簡単ではない。どの果物をどの産地から仕入れるのか。いつが食べ頃なのか。果物ごとの取り扱い、提供までのオペレーションと時間。そして、全国の店舗で同じように再現できる人をどう育てるのか。
青木フルーツが積み上げてきたのは、こうした一つひとつのノウハウだ。
暑い夏はジュースが売れる「ありがたいチャンス」
取材を通じて印象に残ったのが、78歳の青木さんの果物への姿勢だった。
「夏に『暑い』という言葉は禁句になっております」
暑い夏はジュースが売れるので「暑い」と嘆くのではなく、「ありがたいチャンス」だという。
そして、暑さが和らげば季節は秋へ。梨やブドウなど、その時期だからこそおいしい果物から作られるジュースが店頭に並ぶ。旬を知り、最もおいしい瞬間を見極め、ジュースにして届ける。
次は、どんな果物を飲みに行こうか。
筆者ももう、「元には戻れない客」になってしまったのかもしれない。


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