このようにして、青木フルーツはコロナ禍の営業赤字を乗り越え、2021年から2024年は業績を伸ばしてきた。しかし、2025年度は新たな壁に直面する。営業利益が前年比3割程度マイナスと、大きく減少したのだ。なぜ、これほど大きく落ち込んだのか。青木さんはこう説明する。
「さらなる物価高で、ドリンク一杯にお金を出すのをためらってしまうんですよね」
物価高で節約思考が一層強まり、客数の伸びが鈍った。加えて、最低賃金引上げに伴う人件費の増加、キャッシュレス決済手数料の増加などの影響も受け、利益が減少したのだ。
そこで2025年11月、戦略を変えた。仕入れ力を生かし、利益を確保できるフルーツでセールを行い、「値ごろ感」をつくった。1杯の価格を抑え、まず飲んでもらったのだ。すると11月以降、売り上げは同期間昨対比で103%にまで持ち直してきたという。
一方で、原材料や人件費、決済手数料の上昇は止まらない。値上げすれば客が離れる。安くすれば利益も残らない。その綱引きを最後に支えるのは、現場で働く人の力だ。
しかし、その人の育成で青木フルーツは大きくつまずいた過去がある。
「現場任せだった人材育成」からの立て直し
2016~2018年ごろの青木フルーツは、危機的な状態だった。早期離職が常態化していたのだ。
原因は、受け入れ体制が整っていなかったこと。新しく入った社員を十分に育成する仕組みがなかったのだ。先輩から新人へ教える方法として「口伝え」が中心で、何を、どこまで教えるかが人によって違い、店舗ごとに技術のばらつきが生まれていた。
その違いは、店でつくるジュースの品質にも表れた。
レシピの分量そのものは、以前から決められていた。しかし、レシピには書ききれない細かな作業で差が出る。例えば先述したキウイでは、店舗によってミキサーの使い方に違いがあり、仕上がりにもばらつきが出ていた。
同じレシピを使っていても、「どう作るか」が違えば、味も変わってしまう。
「採用したみなさんのサポート体制が不十分で、現場の自主性に任せきりになっていたんです」
青木さんは、個人の能力の問題ではなく、新人を育てる仕組みそのものが整っていなかったと気がついた。
そこで教育のやり方を一から見直した。目指したのは、教える内容だけでなく、教え方までそろえることだった。


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