――第1〜3弾と開催されて、室内楽演奏会への手応えはいかがでしたか。
24年の第1〜3弾は、先輩方のお力をお借りして、やってみようという演奏会でした。それを経て、前回までの経験を踏まえ、今回、26年公演は同年代で集まって自分たちで作っていく感じになります。
日本では、室内楽の一般化が遅かった
――室内楽には高尚な音楽、玄人向けの演奏会といったイメージもあるように思います。
そういうイメージを持っている人はたぶん多いけど、実は作品そのものは、すごくライトなものもあるし、必ずしも玄人向けの音楽というわけじゃない。かつ歴史的に見れば、むしろオーケストラに比べて大衆的で身近な分野でもあった。ただ、特に日本においては、室内楽は一般化するのがちょっと遅かった。クラシック音楽といえばオーケストラやソロリサイタルに関心が向けられて、室内楽にはあまり注目が集まってこなかった。
「東京クヮルテット(※)」をはじめ、素晴らしいグループが増えるにつれて理解が進むようになったけれど、それでもやっぱり大衆化した分野とは言いにくい。チケットを買うにも、二の足を踏む人が多いかもしれません。(※1969年にアメリカのジュリアード音楽院で日本人演奏家4人によって創設された)
――馴染みのあるソロ曲や、交響曲第何番など、多くの人が知っている曲の演奏会とは違うところもありそうです。
純粋に音楽的な意味で見ると、多くの作曲家にとって、室内楽は作曲の基本、核になる分野だったんです。オーケストラのような大きな編成とも、最小の編成であるソロとも違う、作曲技法上の基本になる編成です。例えば弦楽四重奏、あるいはピアノ三重奏のような室内楽は、ベートーヴェンにせよ、ブラームスにせよ、シューベルトにせよ、ある作曲家の作曲技法の本質、彼らの考え方が投影されやすい。
言ってしまえば、作曲家の魅力をいちばんダイレクトに感じられる分野が室内楽。特定の作曲家を勉強するに当たって室内楽作品を避けては通れないだろうということをずっと考えていました。作曲家を理解するためには、その室内楽作品に向き合う必要がある。室内楽により多くのエネルギーを割きたいというのは、そうした部分がモチベーションとして大きいからです。

