話したくなるのは、助言したいからだけではありません。「何か言わなければいけない」「沈黙はまずい」という無意識の強迫観念が働いていることもあります。
しかし、その場の目的を「理解」だと定めれば、無理に存在感を示す必要はなくなります。目的が定まると、余計な言葉は自然と出なくなります。
そして最後に、自分の中にある「恐れ」を観察することです。
話さないと評価が下がるのではないか。黙っていると無能だと思われるのではないか。役に立たないと思われるのではないか。こうした恐れが、私たちを過剰にしゃべらせます。
しかし、その恐れに気づけるだけで、衝動を抑えることができます。話さない力とは、相手を制する力ではなく、自分の恐れを扱う力です。
話を差し挟みたくなる気持ちを一度飲み込むこと。それが聞き上手への最初の関門です。
相手が話しているとき、自分の思いや考えを〈今すぐ言いたい〉という衝動に打ち勝ち、「黙って、聞く」姿勢を貫く。それは、相手に場を渡すという価値ある選択です。
聞き上手に不可欠な「非言語表現」の技術
会話中に「この人、なんだか話しやすいな」と感じる相手には、共通する特徴があります。それは、言葉だけでなく、態度や表情、うなずき、声色など「非言語表現」が丁寧で豊かだということ。
この非言語表現をどう扱うかに、その人の「聞く力」は如実にあらわれます。
以下は主要な非言語表現です。聞き上手を目指すなら、確実に磨いていきましょう。
ある会議の場面を想像してみてください。あなたが発言している最中、相手がイスにのけぞり、スマホを見ていたらどう感じますか? おそらく、「この人、話を聞く気がないな」「軽く見られているのかも?」と思うはずです。
一方で、前のめりな姿勢で、こちらの目を見てうなずいてくれていたら? 真摯に耳を傾けてくれようとしている姿勢が伝わります。
「聞く」とは、ただ言葉を耳に流し込む作業ではありません。身体を使って、相手と向き合う行為なのです。


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