実例として、彼岸花と、路傍に咲いていた茎の細い花を撮った。どちらも線が細く、オートフォーカスでは狙いどおりに合わせにくい被写体だ。マニュアルフォーカスなら、そこに正確にピントを置けた。輪郭の認識を前提とする計算処理のボケが、もっとも苦手とするタイプの被写体でもある。
注意点もある。ピントを合わせたあとにiPhone本体を前後に動かすと、当然ながらピンボケしてしまう。構えを固定した状態で使うことが前提の機能だと考えたほうがいい。
あえてƒ/4まで絞るという新しい引き出し
では18 Proの本当の魅力はどこにあるのか。筆者の答えは「開放」ではなく、その逆の「あえて絞る」ほうにある。
ƒ/4.0まで絞っても、奥はある程度ボケてくれる。手前から奥までしっかり見せつつ、背景だけをやわらかく落とす。普段とは一味違う、特殊な写真が撮れるのだ。これは17 Proでどれだけ頑張っても再現できない領域で、18 Proだけが持つ引き出しだと感じた。
ここで先ほどのXiaomiの話が効いてくる。Xiaomi 14 UltraのF1.63〜F4.0という範囲は、iPhone 18 Proのƒ/1.48〜ƒ/4.0とほぼ重なる。つまり「スマートフォンでF4まで絞る」という体験自体は、24年の時点で市場に存在していた。そしてXiaomiは、1世代でそれをやめた。同じ引き出しを持ちながら、片方は続け、片方は畳んだ。この分岐は、機能の優劣ではなく、誰に向けて作るかという判断の違いだと筆者は見ている。
ただし、この恩恵を受けられる人は限られる。「人と違う写真を撮りたい」「普段撮れないような写真を撮りたい」という欲がある人にとっては強力な武器になるが、そこにこだわらない人には特にメリットにならない、というのが個人的な見立てだ。Xiaomiが撤退を選んだ背景にも、おそらく同じ構図がある。
シャッタースピードについても触れておきたい。遅くする方向、いわゆるスローシャッターは実用的で、最大1秒まで対応することを実機で確認できた。問題は速くする方向だ。あえてシャッター速度を上げてシルエットを出す、といった撮り方は実質的に使えない。ISO感度(センサーの光に対する敏感さの設定)が意図せず大きく上がってしまい、ノイズの多い荒れた写真になる。「設定をいじれる」ことと「狙った写真を自由に撮れる」ことはイコールではない、というのが率直な感想だ。


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