ご相談の中にある「仕事の時間と家庭の時間」「自分の時間と子どもに使う時間」という言葉。これらを口にした瞬間、親御さんの脳内では無意識にこんな変換が起きています。
つまり、二つを対立する別物として位置づけているのです。対立する二つのバランスを取り続ける——これほど精神的エネルギーを消耗する行為はありません。
「今は仕事中だから子どものことを考えてはいけない」
「今は子どもといるのに、仕事のメールが気になる自分はダメな母親だ」
こうした自己分断が、現代の親が抱える慢性的な疲労感と罪悪感の正体だと思われます。脳科学の領域でも、頻繁な「コンテキスト・スイッチ(注意の切り替え)」が認知資源を著しく消耗させることが知られています。実は、両立を意識すればするほど、脳は疲弊していくのです。
解決策は「バランス」ではなく「融合」
では、どうすればいいでしょうか。それは「バランスを取るのをやめ、融合させてしまうこと」です。
近年、ビジネスの世界でも「ワーク・ライフ・バランス」に代わって「ワーク・ライフ・インテグレーション(統合)」という概念が提唱されるようになりました。仕事と私生活を切り離して天秤にかけるのではなく、両者を一つの人生として統合的に捉えようという発想です。これは、西洋発祥の二元論的思考に対する、世界規模での揺り戻しと言えるかもしれません。


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