「何人来るか。ここが何より大事なんですよ」
価格を上げれば、短期的には売り上げを上げられる。しかし、三田さんが見ているのは、その先にある「また来てもらえるか」だ。
多店舗展開する予定はない。まずは新しい習慣を根付かせたい
だからこそ、東京駅という立地でも1000円を超えない価格にこだわる。「朝からラーメンを食べる」という新しい習慣を根付かせようとしている店だからこそ、気軽に何度も来てもらえる価格であることが重要なのだ。
三田さんは参厘舎をすぐに多店舗展開する予定はない。
「今のところ、展開予定はないです。ここだけです。ブランドって、簡単に広げちゃうと、何がそのブランドで大事なのかが見えなくなってしまう。些細な気づき、大切な何かに気づけなくなるんですよ。一つずつじっくり育てていくことが大事なんです」
「六厘舎」「ジャンクガレッジ」「トナリ」「舎鈴」「久臨」など、数々のブランドを手掛けてきた三田さんだからこそ、ブランドを育てる難しさを知っている。
六厘舎について三田さんは、「濃い味だから年に2回来てもらえればいい」と話した。参厘舎で目指しているのは、その反対なのかもしれない。朝7時からラーメンを食べてもらう。焼き鮭や納豆とラーメンを組み合わせ、「ご飯もいいけど、麺もいいね」と思ってもらう。そして、東京駅という場所でありながら、1000円を超えない価格で「また来たい」と思ってもらう。一度食べて終わりではなく、明日も食べたくなる。それが積み重なった先に、ブランドの未来がある。
濃厚なつけめんで非日常を作ってきた六厘舎。日常的に食べられるラーメンを追求してきた舎鈴。そして参厘舎が挑むのは、ラーメンを「朝食」という日常の中に入れていくことだ。
「売り上げの前に、お客さんに喜んでもらえるかが先」
その考え方は、価格にも、朝ラーメンにも、そしてブランドを急いで広げない姿勢にも共通している。「六厘舎の次」をずっと考えてきた男が、ようやくたどり着いた「参厘舎」のこれからに期待したい。



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