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「メモ禁止」目で技を盗んだ2カ月…廃業する「街のパン屋」の蒸しパンを、大手マックスバリュが"パートさんごと"継いだワケ

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平日700〜800個、休日は1200個売れるという「熱海ほていやの蒸しパン」
平日700〜800個、休日は1200個売れるという「熱海ほていやの蒸しパン」。廃業する「街のパン屋」の蒸しパンを、なぜ大手スーパーが継いだのだろう(写真:筆者撮影)
  • 谷口 素子 取材ライター・コラムニスト
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ほていやの蒸しパンを、なぜマックスバリュで作っているのか?

疑問を抱えたまま、真相はわからずそこから数年が流れた。そしていよいよ、その経緯を聞いてみる機会に恵まれた。

マックスバリュ東海 熱海店(写真:筆者撮影)

社長への直訴から始まった、ほていやの蒸しパン継承

ほていやが店を閉めたのは2006年。その数カ月前から蒸しパンの継承交渉は始まっていた。

街の人が「終わった」と思っていた裏側で、蒸しパンを残すための交渉が進んでいたのだ。きっかけは、商工会議所での立ち話だった。

左から店長・長倉昌彦さん、増井博之さん、鈴木雄大さん、根上常夫さん(写真:筆者撮影)

マックスバリュ東海 熱海店の店長・長倉昌彦さんは、当時のことをこう語る。

「ほていやが店を閉めるという話題が、商工会議所の青年会で出たそうです。同席したうちの社員がその話を聞いて、“熱海の味を消してはいけない。うちで継承したい”と社内で働きかけ、当時の社長・内山一美さん(02年マックスバリュ東海社長就任)に直訴したんです」。

ほていやの蒸しパンを知らなかった社長は、社員たちの話を聞き、「熱海の名物なら、その火を消してはならない」と事業継承を決断した。

ただし、この時点で、「蒸しパンを継承したい」と手を挙げた企業は、マックスバリュ東海も含めて2社あった。

後継者のいない、機械化できない、たった一人の職人に依存した商品である。普通に考えれば、引き受け手のつくものではない。それでも競合が生じたのは、この蒸しパンが「熱海でしか買えない」という、代替不能な価値をすでに持っていたからだ。

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