特徴的なのが、その表面だ。濃い黄色のパンが乗っている。食べるとなめらかで、生地の弾力とクリームのコクが同時にくる。そして、甘さもある。よそでは食べたことのない味だった。
この蒸しパンはあっという間に人気になり、ほていやの看板商品となった。そして、地元の人だけでなく、市外からも蒸しパンを買いに来る人が日に日に増えた。やがてほていやはパン屋ではなく、蒸しパン専門店になった。
職人が引退しほていやは廃業へ。そして蒸しパンは…
ほていやでは、1日1000個以上の蒸しパンが売れると言われていた。本当のところはわからない。ただ、この蒸しパンはほとんど手作業で、たった一人の職人が作っていた。
しかも、ほていやには後継者がいない。だからオーナーが店を閉めてしまったら、間違いなく蒸しパンもなくなる……と街では噂になっていた。
そうして噂通り約20年前、ほていやは閉店した。蒸しパンはとうとう終わってしまったと、筆者も悲しんだものだ。
ところが、である。もう一度、あの味が食べたい……と思っていた矢先、マックスバリュ熱海で買い物をしていると、「熱海ほていや」コーナーができているではないか。そしてあの蒸しパンが陳列されている。「うーん」と半信半疑で蒸しパンの裏を見てみると、製造元に「マックスバリュ東海熱海店」と書いてある。


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