第2に、「個人化」です。
元来、結婚などは個人戦というよりは、地域や職場、友人などのコミュニティ内におけるチーム戦のようなものでした。かつての地域のお見合いも職場結婚に際しての上司のお節介も「個人の自力ではなんともならないものをサポートした」という面は否定できません。
それらが廃れた2000年代以降も友人紹介によるお膳立てが存在していました。そこで大活躍したのは3割の「恋愛強者」です。強者は自分がモテたいという利己的な欲求のために合コンや飲み会を開きます。店を決めてメンバーを集めて、という面倒な作業も苦も無くこなします。強者は自分がモテるために会を開くので、自分よりモテない恋愛弱者を誘います。俗に合コンで「幹事マックスの法則」と呼ばれるものです。
しかし、図らずもそこで生じるのは、その会に呼ばれた恋愛弱者同士が偶然の出会いの機会を得たことです。そのまま結婚に至るというケースは山ほどありました。恋愛強者は自分の欲望のためだけに行動しているのですが、結果的に周囲のキューピッド役を果たしていたわけです。これも、チーム戦による恋愛機会の創出でした。
それがマッチングアプリの登場で環境が変わります。恋愛強者はわざわざ飲み会を開かなくなりました。なぜなら、そんな面倒なことをしなくても、自宅でスマホをポチポチしていれば次々と恋愛相手を見つけることができるからです。
「弱者」の恋愛環境は厳しいものに
そうして恋愛が個人戦化すればするほど、能力のある強者だけが恋愛機会を持ち、そうでない弱者はそもそも出会いの機会すらなくなります。「出会いがない」と愚痴っても「それは自己責任だ」と一蹴されます。弱者がマッチングアプリに手を出しても、第一の要因「市場化」によって相手にされません。「市場化」と「個人化」というダブルで弱者の恋愛環境は厳しいものになりました。
そして、第3に「リスク化」です。
かつて結婚のきっかけの1位を誇った職場結婚は激減しました。職場で恋愛することや異性を誘うことすらセクハラ扱いされるリスクがあるからです。勿論、かつてお節介をやいてくれた上司が何かいうことすらご法度です。


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