かといって職場外で恋愛をしようにも、前述した「個人化」によって飲み会は激減。何かの幸運で知り合った相手と恋愛関係になったとしても、下手すれば後になって「あれは不同意だった」と訴えられるリスクも出てきました。それは場合によって社会的立場含めて人生そのものを終わらせてしまうリスクにまでなっています。そんな状況で恋愛しようとはとても思えなくなったことでしょう。
これらの環境変化に対して若者が適応しようとするのは当然で、その解が「合理的に判断したら恋愛も結婚もしない方が安全だ」ということになるわけです。これは由々しき問題で、「結婚キャンセル」「恋愛キャンセル」だけではなくすべての「行動キャンセル」に進む恐れがあります。それを若者の価値観変化とするのは大人の逃げでしょう。若者をこうした考えに至らせてしまった環境を作ってしまったのは誰かという問いが必要です。
「個人化」でもっとも途方に暮れるのは若者
3つの環境変化の中で深刻なのは「個人化」です。恋愛や結婚に限らず、人生はチーム戦で成り立っていました。今だけではなく昔も若者の経済環境は厳しかった。しかし、それでも「なんとかなる」という安心が得られたのは「いざとなればチームの誰かに頼っていい」と信じられていたからです。それが失われ、「誰もが他人のお節介をすることを避け、すべては自己責任で」という環境になれば、もっとも途方に暮れるのは若者です。
著名な社会学者ベックやバウマンが危惧した「社会の個人化」が着々と現実になってきています。結婚や恋愛が消滅していくだけではなく、そもそも人のつながりも消滅してしまいます。環境を変えるには、大人たちが現実と向き合い、自らの行動を変える必要があるでしょう。若者の環境とは大人たちの行動が作り上げるものです。


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