福岡県議会を舞台とした「底知れない金銭授受疑惑」が中央政界にも飛び火。高市早苗政権の党・内閣人事を軸とする「政局の秋」の大きな波乱要因となりつつある。
同県議会を支配してきた自民党系議員団が、同疑惑をめぐって分裂状態に。野党各党が一斉に来春の県議選の候補擁立に動き出したことで、「来春の統一地方選で福岡の政界地図が一変し、統一選全体にも大きな影響を及ぼす事態」(政治ジャーナリスト)が想定される。
しかも、疑惑の中心人物とされる蔵内勇夫前県議会議長(議員辞職済み)が、福岡を地元とする麻生太郎副総裁、武田良太元総務相、松山政司参院議員会長だけでなく、森山裕前幹事長、林芳正総務相ら政府与党首脳や有力議員らと「深い関係を持っていた」(自民党長老)ことは周知の事実だ。
そうした状況から、自民党内では「蔵内氏の議員辞職とその後の言動などが、高市首相を支える麻生・松山両氏ら政権中枢の党内の立場も揺さぶる可能性が大きい」(同)と指摘する声も少なくない。このため、高市首相が9月16日にも断行する構えの党役員・内閣改造人事も絡めた党内の権力闘争において、新たな火種となりかねない状況だ。
スキャンダルは「福岡のドン」にとどまらなかった
事の発端は、従前から「自民党の福岡のドン」として中央政界でもその存在が知られていた蔵内氏をめぐり、自身2度目となる県議会議長就任時の金銭授受疑惑や高額な海外視察といった問題が、地元紙の報道などで発覚したことだった。ネット上でも大スキャンダルとして炎上した。
最終的に蔵内氏の議員辞職にまで発展したが、9月に入ってもゴタゴタは収まる気配を見せていない。福岡県連の松本國寛会長も5日の県連執行部会で会長辞任を表明した。2018年から20年まで福岡県議から「根回し代」などとして現金を受け取った疑惑が発覚したためで、後任会長は「今後選挙で決定する」(県連幹部)としているが、関係者の多くは「まだまだ混乱は続く」と肩を落とす。
事態を重く見た自民党本部は、鈴木俊一幹事長が8月末、同党福岡県連幹部に「次の選挙(来春の統一地方選)では、わが党の県議に公認を出せる状況ではない」と厳しい対応を伝えた。これは高市首相の意向も踏まえたもので、慌てた福岡県連は必死で事態収拾に取り組んでいる。だが、「さらなる疑惑も発覚したことで、混乱の早期収拾は困難」(県連幹部)なのが実情だ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。