日本生産性本部の『レジャー白書2025』によれば、パチンコ・パチスロの市場規模は16兆2000億円、遊技人口は約690万人(2024年)だ。だが、パチンコホールではいまだ基本的に現金しか使えない。
その背景には業界のジレンマがある。クレジットカードは「借金漬け」につながる懸念から警察当局が導入を認めてこなかった。デビットカードやプリペイドカードは一部導入されているが、1990年代には偽造カードが横行し、総合商社系カード会社がパチンコ向けプリペイド事業から相次いで撤退した。その後、ユーザーとのトラブルやパチンコ業界と関わることによるレピュテーションリスクを恐れて、パチンコキャッシュレス化に手を出す事業者はなかなか現れない。
一方、現金のみによるホール運営は様々な不正の温床になりやすい。依存症対策を整えたうえでのキャッシュレス化は、ユーザーの金銭の流れを把握できる巨大な利権といえるが、業界の透明化にもつながる。パチンコホールのキャッシュレス化は、長年にわたる業界の「悲願」でもあるのだ。
そして、ここ数年このキャッシュレス化に本腰を入れてきたのが、パチンコ機器メーカー業界団体の日本遊技関連事業協会(日遊協)、そしてパチンコ向けプリペイドカード大手、売上高253億円(26年3月期)の日本ゲームカードである。
ところが、ここにきて前代未聞のトラブルが勃発した。上場企業であるGMOペイメントゲートウェイを巻き込む大騒動だ。
事態を動かした1通のLINEメッセージ
住友商事系の日本ゲームカードは89年の発足当初から、パチンコ向けプリペイド事業を手がけてきた。が、2001年に住友商事が撤退し、パチンコメーカーのSANKYOが筆頭株主となる。その後、三井物産系の日本アドバンストカードシステムを吸収、07年には「パッキーカード」で知られた三菱商事・NTTデータ系の日本レジャーカードシステムを買収するなど、パチンコホール向けプリペイド事業で存在感を高めてきた。
転機を迎えたのは23年のことだ。
同年夏ごろ、日遊協会長で日拓グループ社長の西村拓郎氏から、あるパチンコ業界誌社長の元に1通のLINEメッセージが送られてきた。
「業界のキャッシュレス化を本格的に進めたい」


