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ライフ #安彦良和が語る ガンダム、漫画、アニメ

「当時の僕にとってガンダムは過去の話だった」「出版は結果がついてこなければ…」安彦良和氏が語る「オリジン」誕生前夜

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漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』はどのような経緯で生み出されたのか(撮影:梅谷秀司)

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『機動戦士ガンダム』(1979年テレビ放送開始)のアニメーションディレクター、キャラクターデザインを担当したことで知られ、アニメ監督、漫画家、として多くの作品を生み出してきた安彦良和氏(78)。東洋経済オンラインではロングインタビューを8回に分けて配信してきた。本記事では、その中から『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』誕生前夜について語った部分を抜粋してお届けする。
【連載一覧はこちら】
1回目:『オリジン』誕生前夜、いつまでも「ガンダムの安彦」と言われるのはごめんだと思っていた
2回目:「単純な勧善懲悪じゃないからいい」、富野由悠季のガンダムが薄っぺらな話のわけがない
3回目:クリエイターもファンの声に影響される 敵役が続編では味方になる訳、「Ζガンダム」への思い
4回目:『オリジン』と『SEED』、2作品で盛り上がった「ガンダム20周年」を振り返る
5回目:アニメが興行的にこけると、スタッフは"しけた人間"という扱いになってしまう
6回目:才能のあり方の違い、「遊び精神がないのが、"彼ら"に俺が勝てない原因だと思っている」
7回目:世界は社会主義以前に戻った、でも今はトランプがきらいなら「きらいだ」と言える
8回目:シャアもその"餌食"になったが、かつて若者に広がった「やおい」は偉大な文化だった

『ガンダムエース』は『オリジン』を載せるために創刊された

―漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下『オリジン』)は、01年の『ガンダムエース』創刊と同時に連載が始まりました。

そもそも『ガンダムエース』は、『オリジン』を載せるために作ってもらった雑誌なんです。角川書店に井上伸一郎という編集者がいた。角川の社長までいったんだけども、最近辞めてフリーになったらしい(※)。その男が古い知り合いだった。

角川歴彦さんの側近であり、アイデアマン。そんな井上がいるんで、角川に(『ガンダム』の漫画を描くと)言えば何かやってくれるんじゃないかなと思ったら、即決で「じゃあ雑誌を作りましょう」って。

(※編集注:井上伸一郎氏は、漫画誌『月刊少年エース』の創刊編集長などを経て2007年角川書店社長、19年KADOKAWA副社長。現在は合同会社ENJYU代表、ZEN大学客員教授。参考:井上氏インタビュー記事 )

角川には少年誌があるから、僕の漫画もそこに載っけてくれればいいかなと思っていた。そうしたら、新しい雑誌を作っちゃおうと言う。そこまでやってくれるとは思わなかったんですけど。

現在も精力的に創作に取り組んでいる。2026年5月出版の新作漫画『銀色の路-半田銀山異聞-』(上下巻)では、幕末〜明治の実業家・五代友厚を主人公に福島の半田銀山復興を描いた。対になるのが、福島県桑折町の町制施行70周年を記念して描き下ろした25年9月出版の『半田銀山昔語り』だ(撮影:編集部)

――時期的にはいつ頃の話ですか。

(創刊前年の)2000年だと思うんですよ。本当にトップダウンというか。よくも悪しくも当時の角川はワンマン。歴彦さんの。春樹さんとお顔は似てないんだけど、やっぱ兄弟だな、よく似てるなと思うんですけどね。歴彦さんがいいと言えば何でもできた。井上は歴彦さんに非常にかわいがられていたんです。

100ページの描き下ろし、季刊で始まり隔月刊からすぐ月刊に

――その時点では『オリジン』の連載をすることしか決まっていなかったにもかかわらず、1冊の雑誌を創刊したと。

最初は季刊でスタートしてるんですよ。雑誌も薄くて。僕は100ページ描き下ろしをした。そしたら評判がいいというので隔月になって、すぐ月刊になった。出版だから、結果がついてこなかったら変わっちゃいますからね。売れなかったら、当初の話が変わってもしょうがない。それは僕も見てきたから、そうなったら「ごめんなさい」だなと思ったんだけども。

『オリジン』は引きがよかったもんですから。そのかわり一生懸命描こうと、毎月だいたい50ページずつ描いていました。

安彦良和(やすひこ・よしかず)/漫画家、アニメ監督。1947年北海道生まれ。70年からアニメーターとして活躍。『機動戦士ガンダム』ではアニメーションディレクター、キャラクターデザインを担当。『ナムジ』『虹色のトロツキー』など漫画作品も多数 。直近では、2025年9月に『半田銀山昔語り』、26年5月に『銀色の路-半田銀山異聞-』(上下巻)を出版(撮影:梅谷秀司)

漫画化のオファー当時、ガンダムはもう過去の話だった

――『オリジン』は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(79年放送開始)の漫画版です。ただ、安彦さんの発案で企画が動き始めたわけではなかったとのこと。

サンライズ(※ガンダムシリーズの制作会社)からガンダムを漫画化してほしいという依頼がありました。当初サンライズには角川の雑誌で連載という考えはなくて、別のメジャー出版社を狙っていたみたいですけどね。100万部以上売れている雑誌を狙う、なんて言っていた。

100万部も売れてる雑誌って今はほとんどないけど、当時だってそんなに多くはなかったんで「それは無理だよ」と僕は言って。でも、「角川に行けば、やってくれるんじゃないか」とも言ったんですね。

サンライズは講談社にアタックしたらしいんだけど、やはり断られて。当時、サンライズ元社長の山浦栄二が、――この人はガンダムを立ち上げた人ですけども、「講談社に断られた」と怒っていた記憶がある。だから角川にしなさいって言ったでしょって。で、(その後企画を持ち込んだ)角川は一発OKだった。

――サンライズから漫画化のオファーがあった当初、安彦さんは「ガンダムは描かない」と断ったそうですね。

当時の僕にとってガンダムはもう過去の話だった。割と(漫画家として)調子が出てきていた。売れる売れないは別として、割と好きな仕事ができてた。だから、せっかく乗ってきてるのにそんなの嫌だって。それで断ったんですがね。

【連載一覧はこちら】
1回目:『オリジン』誕生前夜、いつまでも「ガンダムの安彦」と言われるのはごめんだと思っていた
2回目:「単純な勧善懲悪じゃないからいい」、富野由悠季のガンダムが薄っぺらな話のわけがない
3回目:クリエイターもファンの声に影響される 敵役が続編では味方になる訳、「Ζガンダム」への思い
4回目:『オリジン』と『SEED』、2作品で盛り上がった「ガンダム20周年」を振り返る
5回目:アニメが興行的にこけると、スタッフは"しけた人間"という扱いになってしまう
6回目:才能のあり方の違い、「遊び精神がないのが、"彼ら"に俺が勝てない原因だと思っている」
7回目:世界は社会主義以前に戻った、でも今はトランプがきらいなら「きらいだ」と言える
8回目:シャアもその"餌食"になったが、かつて若者に広がった「やおい」は偉大な文化だった

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