一方、本当に時代を変える「破壊的イノベーション」(最初のiPhoneやウォークマンのような、既存の品物にない、まったく新しいもの)は、世に出るまで、「比較できる過去のデータ」が存在しません。そのため、過去を基準にするAIは、必然的に「需要0(こんなものは過去に売れたことがない)」と弾き出します。それが、今考え得る「最適解」だからです。
データが完璧にそろったとき。それは「遅すぎる」のサイン
もちろん、「0%ならなんでもいい」と言っているわけではありません。
AIもデータも、どれだけ莫大な量を分析しても、「すでに起きたこと」しか語りません。戦略を立てる際、データが完璧にそろっていて、誰もが「これは儲かる(GOだ)」と賛同する事業は、実は「参入するには遅すぎる」事業です。
たとえばソフトバンクの孫正義氏は、事業投資について、「5割の確率でやるのは愚か。9割の成功率が見込めるようなものは手遅れだ。7割の成功率が予見できれば投資すべきだ」と言っています。
こういう自分なりの相場観を持っておくことが、ここぞというときに失敗を恐れずチャレンジし、チャンスをつかむことにつながるのです。
A君は、AIが「需要がない」と言ったのではなく、「過去に比較できるデータがない(=未開拓の市場である)」という「アウトライヤー(外れ値)」を吐き出した事実に、気づくことができました。この「異常値(アウトライヤー)」に遭遇したとき、箸にも棒にもかからない「ダメ」なものなのか、実は「金脈」なのか? それを捉える力こそが大切なのです。
弱者が市場で勝つための唯一の戦略は、「誰もいない場所で戦うこと」です。
こういう市場はニッチだったりするので、「最適解」を出すよう設計されているAIは、そもそも苦手かもしれません。逆に、AIが叩き出した「0%」は、「失敗するだろう」という予測ではなく、競合がいない「完全なブルーオーシャン」かもしれないという、強力な仮説を教えてくれている可能性があるのです。



※ログイン後、コメント入力が可能です。