2.保存の常識を変える
タマネギ、ジャガイモ、ニンジンといった常備野菜も、夏から初秋にかけては常温で長く置かないほうがよい。
新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室で保存する。ジャガイモは10℃前後、ニンジンは乾燥を防ぎ、立てて保存するのが基本だ。使いやすい大きさに切って冷凍する。下ゆでして保存する。干して水分を減らす。「加工してから保存する」という発想への転換も必要になる。
3.まとめ買いから計画買いへ
安売りだからと買い込んでも、傷ませて捨てれば割高になる。数日分の献立を考え、必要な量だけ買う「計画買い」が有効だ。ネットスーパーの注文履歴や再注文機能を使えば、買い忘れと買い過ぎを減らしやすい。農林水産省が原則毎週公表している「今週のお手頃野菜」も参考になる。安く出回る野菜から献立を決めれば、価格変動を避けるのではなく、味方につけられる。味に影響しない規格外品を選ぶことも有効だ。品質に問題がないものも多く、生産者の収入を支え、食品ロスの削減にもつながる。
適応コストは「無駄」ではなく、事業継続の投資だ
ただし、消費者だけに対応を求めるのは筋違いである。
食品企業には、特定産地への依存を減らし、複数産地から調達する仕組みが求められる。原料の品質が変動することを前提に、商品設計や製造工程を見直す必要もある。
冷却設備、在庫、保管、物流への投資も同じだ。気候変動への対応コストは、削るべき費用ではない。事業を続けるための投資である。企業には、値上げの背景に何があるのかを消費者に説明する姿勢も必要だ。どのような供給努力をしているのか。なぜコストが上がるのか。それを伝えることは、単なる広報ではない。これからの価格戦略そのものである。
産地が品種を変える。物流が温度を守る。企業が調達網を組み替える。家庭が保存と買い方を変える。このどこか一つでも欠ければ、食べ物は食卓に届く前に、あるいは届いた後に失われる。日々の買い物は小さな選択に見える。しかし、その積み重ねこそが、酷暑化する時代の食卓を守る確かな備えになる。


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