──現在の活動状況および国家人権委員会が森林問題に取り組む理由について教えてください。
国家人権委員会は約450人の職員、全国に6つのオフィスを擁する国家機関だ。私は議会から選ばれた9人の委員の1人であり、委員会は独立した立場でインドネシア国民の人権擁護にかかわっている。
委員会が2025年に受理した3000件近い苦情のうち、土地や森林をめぐる紛争が約3割を占めている。先住民族を含む一般市民から非常に多くの苦情がもたらされている。
人権をめぐる問題があれば私たちは調査をしてその調査結果を司法当局に提出し、話し合いの場を設ける。また、調査の結果に基づき、関係者に推奨の通知を出すこともある。法廷助言者として、法廷で証言することもしばしばある。
土地や森林、天然資源、先住民族、企業活動、環境ガバナンスの課題にも取り組んでいる。なぜならば、こうした分野でこそ、人権が最も厳しく試されているからだ。
国家人権委員会の活動を通じて得られた教訓は、森林減少とは単に森林が失われることではなく、そこに住む人々が生計手段や文化的アイデンティティ、法的安定性、そして最終的には人間の尊厳の喪失を伴うということだ。森林を守るためには、信頼、科学的知見、市民参加が必要で、政府機関、市民社会、学術界、責任ある企業、地域コミュニティーの継続的な協力が不可欠だ。
森林をめぐる紛争多発の背景
──土地や森林をめぐる紛争の多発には、どのような背景があるのでしょうか。
インドネシアの国土の面積は日本の約5倍の約190万平方キロメートル。そのうちの約5割が森林で占められており、世界的に見ても非常に重要な生態学的資産だ。インドネシア政府の林業省によれば、約2万5000の村が森林の中に存在している。すなわち全国の村の約3割が森の中あるいはその近くに位置している。このことがさまざまな複雑な問題とつながっている。
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