ただし、現在の日銀の利上げを、すぐに「景気にブレーキをかける」ものと考えるのは少し違います。金利が低く、景気を後押ししている状態では、金利を少し引き上げても、その後押しがすぐになくなるわけではないからです。車にたとえるなら、いきなりブレーキを踏むというより、これまで踏んでいたアクセルを少しずつ緩めているイメージです。
では、なぜ日銀はアクセルを緩めようとしているのでしょうか。大きな目的は「物価の安定」です。金利が低いと、住宅や自動車などを買うためにお金を借りやすくなり、消費を後押しします。しかし、物価が上がっているときにも低い金利で景気を後押しし続けると、モノやサービスを買おうとする力が強い状態が続き、物価がさらに上がる可能性があります。
そこで日銀は、金利を少しずつ引き上げることで、景気を後押しする力を弱めていきます。そうすることで、消費が過度に強くなることを抑え、物価が上がりすぎないようにするのです。
足元の物価はどのくらい上がっている?
では、実際に足元の物価はどのくらい上がっているのでしょうか。物価を見る代表的な指標が「消費者物価指数」です。私たちが普段購入しているさまざまなモノやサービスの価格が、全体としてどのくらい上がったり下がったりしているのかを示すものです。
消費者物価指数は、総務省が毎月公表しています。全国の物価について調査し、原則として翌月に前月分の結果を発表します。たとえば、7月の物価がどのくらい上がったのかは、8月に発表されるということです。なかでも金融政策を見るうえでよく使われるのが、価格の変動が大きい生鮮食品を除いた「生鮮食品を除く総合指数」です。一般に「コアCPI」と呼ばれています。
8月21日に発表された2026年7月の全国のコアCPIは、前年の同じ月に比べて1.8%上昇しました。つまり、1年前と比べて物価が1.8%高くなったということです。
ここで覚えておきたいのが「2%」という数字です。日銀は、消費者物価が前年比2%程度で安定的に上昇することを目標としています。物価が下がり続けると、「今買わなくても、もう少し待てば安くなる」と考え、買い物を先送りする人が増える可能性があります。そうなると消費が減り、景気が悪くなることにもつながります。そのため、日銀は物価が下がり続けるのではなく、緩やかに上昇していく状態を目指しているのです。


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