ちなみに「金銅半跏思惟像」は太平洋戦争中に、当時の朝鮮総督府の日本人らがアメリカ軍からの空襲を警戒し、綿や布に包んで列車で韓国東南部の慶州(キョンジュ)に疎開させたというエピソードもある(有光教一『朝鮮考古学七十五年』、昭和堂、07年)。
そんな歴史を知れば、ますます親近感が湧くにちがいない。
イマーシブ映像で体験できる
こういった思い切った空間の使い方に加えて、国中博が起こしたもう1つの革命は、アナログな文化遺産とデジタルテクノロジーの「ジャンルを超えた融合」だ。その中核を担うのが、館内に設置された複数の『デジタル実感映像館(イマーシブ・デジタル・ギャラリー)』である。
中でも「実感映像館1」に設置された超大型のパノラマスクリーンは見応えがある。歴史的な絵画や書、また朝鮮時代の壮麗な宮廷儀式を描いた絵画が高解像度メディアアートで再現されている。
こういったイマーシブ(没入)映像は、日本でも最近美術展で使われ、新たな鑑賞経験として人気を集めているが、国立の博物館が取り入れているのは驚きだった。曜日ごとに内容が変わるので、国中博のホームページで確認して行くといいだろう。
また、仮想現実(VR)技術も活用され、タッチスクリーンの操作によって絵画の中の登場人物たちが生き生きと動き出し、観覧客自身の参加によって作品世界が完成していく工夫もされている。普段は立ち入ることのできない博物館収蔵庫の内部を歩き回るプログラムもある。
文化財を最新のデジタル技術を用いて「今を生きる人々が主体的に楽しむコンテンツ」に昇華させ、新たなファンを開拓した。


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