「デジタルマーケティングの定義そのものがアップデートされた」「マスメディアからデジタルへシフトしたときと同じくらい、タフな変化が起きている」
SNSや動画配信サービス経由で拡大を続けるネット広告。その最前線を走る各社首脳陣からは今、「産業の地殻変動」をうかがわせる声が相次いでいる。
2025年のネット広告市場は4兆0459億円(前年比10.8%増)と右肩上がりで成長。今や、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の「4マス広告」の倍に迫る規模に到達した。
そんな我が世の春を謳歌する市場に昨年、衝撃が走った。国内有数の大口顧客である楽天グループが打ち出した、ネット広告運用の大規模な「内製化(インハウス化)」だ(詳細はこちら)。これによって、約5年ぶりに四半期ベースで減収(前年同期比)に陥ったサイバーエージェントを筆頭に、一部のネット広告関連企業の決算ではマイナス影響が発生した。
広告運用は“ハイブリッドモデル”へ
業界首脳陣らの見解としては、楽天ショックは国内有数のIT企業だからこそ発生した“特殊事例”というのがコンセンサスだ。広告業界は新たなテクノロジーの導入ペースが速く、相当なテック企業でなければ、広告業務のすべてを内製化することは困難とみる向きが多い。
ただ、これまで代理店やその出身者が「専門作業」として担っていた広告クリエーティブの制作や標準的なメディアプランニングは、過去データの学習と自動生成が得意な生成AIとの相性がいい。企業側に高度な専門人材がいなくても、AIの活用によって自社で広告を回すハードルが一気に下がることもまた事実だ。
では、内製化の加速シナリオを筆頭とした広告業界の「AI激変期」には、具体的にどのような変化が待ち受けているのか。業界の未来を占うに当たり、大きく3つの焦点から整理していきたい。
1つ目は、「内製化」か「広告会社への外注」かという二元論の先にある、「ハイブリッド」を前提とした支援モデルへの移行だ。
ネット広告会社の古豪・オプトを擁するデジタルホールディングスは、内製化支援の領域で先陣を切り、10年ほど前から約100社もの案件を手がけてきた。その経験から導き出された結論は、内製化の約6割は失敗するというシビアな現実である。
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