一方、シーメンスの競合となるフランスのアルストムは、かつて「プリマ」と呼ばれる機関車を製造していたが、本国フランス以外ではほとんど売れず、機関車に関してはヨーロッパ市場から事実上撤退していたに等しかった。
しかしその後、同社は業界再編でボンバルディアを吸収合併することに成功、ボンバルディアが開発した汎用機関車「TRAXX(トラックス)」をアルストムブランドで販売することになった。ヴェクトロンほどではないが、TRAXXは比較的多く販売されており、イタリアではイタリア鉄道貨物部門「メルチタリア」を筆頭に、ヴェクトロンよりも多く販売されている。このように、国によって「売れ筋」が違うこともある。
ほとんど売れない車種もある
逆に、機関車市場でふるわなかったメーカーが、チェコのシュコダや、イタリアのアンサルドブレダ(現日立レール)だ。
チェコのシュコダは、ヨーロッパ市場を見据えて汎用機関車「109E」を開発、チェコ鉄道やドイツ鉄道などに採用されたが、信頼性の不足に加え、チェコ鉄道は契約上のトラブルを抱えてしまい、わずか28両しか生産されなかった。この先契約する会社がなければ、自然消滅する形になるかもしれない。
アンサルドブレダも、イタリア鉄道向けに汎用型のE403型という機関車を製造していた。しかし、大量生産されるシーメンスなど他社の車両に比べて価格面で太刀打ちできなかったことに加え、やはり信頼性の問題を抱えており、こちらも24両で生産打ち切りとなった。同社は日立に買収されたあと、機関車生産からは完全に撤退している。
このように、「完成車」を買う世界では、ほとんど売れない車種というのも存在するのだ。

