地続きのヨーロッパは、30カ国以上の国が一つの地域に密集している。鉄道発祥の地でもあるヨーロッパは当初、各国が独自の鉄道を建設していたが、隣国への接続のため、ある程度統一された規格がなければ直通することが難しいという問題を早くから抱えていた。
線路幅や車両限界(寸法)が厳格に決められているのはそのためで、現在は中・西欧地域(1435mmの標準軌)を中心に、南欧(スペイン・ポルトガル、1668mm軌間)規格、北欧(スカンジナビア各国、標準軌だが車両限界は大きい)規格、東欧(ロシア周辺国、1520mm軌間)規格、さらにイギリス規格(軌間は標準軌だが車両限界は小さい)に大別することができる。
鉄道メーカー再編で「完成品」主流に
規格が同じなら、信号や架線電圧が共通であれば同じ車両を走らせることも理論上は可能だ。実際に、機関車牽引の列車が主流だった時代は、国境で機関車を変えるだけで隣国へ直通できる客車が重宝された。ただ、国内だけで運用する車両については、ある程度各国の実情に合わせた車両を生産していた。国鉄とメーカーの結びつきも強く、車両の共同開発も行われた。
だが20世紀末、ヨーロッパでは鉄道メーカーの再編が進んだ。国の数だけあったメーカーは統廃合を繰り返し、シーメンスやアルストムといった大手メーカーに吸収され、各国の地元メーカーは次々と姿を消していった。同時に、地元メーカーが鉄道会社と共同開発し、各国向けに生産していたオーダーメイド車両は数を減らし、メーカー主導で開発した「レディメイド車両」が主流になっていった。
レディメイド車両は、完成品を各国向けにアレンジして販売するようなものだ。分かりやすく例えるならば、車の購入に似ている。

