この店が、子連れ歓迎空間を作りつつ、「子連れ客だけに限定したくない」と語るのは、「混ぜたい」というコンセプトのほかに、子連れだけに限定するとビジネスとして成り立たないという事情もあります。少子化社会では、今後さらにその傾向は強まっていくと認識しているそうです。
また、子どもが楽しめる店を目指すとなると、おもちゃの消毒など、普通の飲食店ではかからない手間も発生します。キッズスペースを多くとっている分、客席数は削っているため、客単価の安い「安居酒屋」として営業することも不可能です。
なぜビルの2階に出店?
ちなみに、このお店は1階の路面店ではなく、ビルの2階に出店しています。これは、キッズスペースが多く通路が広々とした店舗を作るための、家賃とのバランスの結果だそうです。しかも、このビルにはエレベーターがありません。これは子連れ歓迎店としてはマイナスポイントなのですが、インターホンで呼び出せてベビーカー運搬などはお店が手伝う作りにしてカバーしているそうです。
また、彼らのお子さんたちが店に遊びにきたりごはんを食べにくることもよくあります。筆者が訪れた日も、多くのお客さんに加え、彼らのお子さんのひとりが遊びにきていました。
つまり、このご夫婦は、ビジネスとしても、子連れ歓迎店としても、自分たちの理想とする飲食店としても、自分たちの育児空間としても、さまざまなベストなバランスを探る試行錯誤を続けているともいえます。
これらの試行錯誤には、「大人としての楽しい時間も大切にしたい」でも「子どもの楽しい時間も大切にしたい」という、彼らの親としての姿勢も現れている気がしました。
以前、このご夫婦には、「コロナ禍の飲食店のピンチをアイデアで乗り切るお店」として連載に登場していただいたことがあります。数々のピンチをアイデアで乗り越えてきたおふたりによる飲食店の社会実験。今後がどうなるのか、楽しみにしている筆者なのです。


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