次に、性差についてです。MCTQを用いた研究では、思春期から中年期にかけて、男性のほうが女性よりも夜型になりやすいことが示されています。
男性は女性に比べて、クロノタイプの後退が大きく、夜型のピークも遅く訪れます。一方、女性は比較的早い段階で夜型のピークを過ぎ、朝型へと戻っていく傾向があります。
この違いには、性ホルモンの影響が関与していると考えられています。つまり、「男女で生活リズムが違う」のは、社会的役割だけでなく、生理学的な背景もあるということです。
MCTQの特徴は、こうした年齢差や性差を前提にしていることです。単純に「何時に寝て、何時に起きているか」だけを見るのではなく、年齢や平日・休日の違いを考慮しながら、その人の「本来の体内時計の位置」を推定します。だからこそ、MCTQは世界中で使われているのです。
自分の体内時計の「現在地」を知ろう
この視点を持つと、若者の夜更かしに対する見方も変わってきます。「だらしない」、「自己管理ができていない」と切り捨てるのは簡単ですが、実際には、その年代特有の体内時計の特性が背景にある場合が少なくありません。
だから筆者は研究室にいる学部生や大学院生に、朝早く来て研究しなさいとは言わないようにしています。クロノタイプは、努力で簡単に変えられるものではないことも知っていますし、無理に早朝に来させても作業効率が下がるだけだと思っています。
年齢や性別によって変化することを知っていれば、「今の自分に、どこまで無理をさせているのか」、「どこを工夫すれば、もう少し楽に生きられるのか」が見えてきます。
MCTQは、単なる診断ツールとして使用するのではなく、自分の体内時計の「現在地」を知ることに用いましょう。人生のステージごとに、無理の少ないリズムを設計するための地図として有効です。



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