「もっと頑張って稼げるようになったら、いい車が買えるぞ」
もし上司からこう言われたら、あなたはどう感じるでしょうか。
「よし、もっと頑張ろう」と奮起する人もいるでしょう。
一方で、「別に車はいらないんだけど……」と戸惑う人もいるはずです。
私は組織変革コンサルタントとして、20年にわたり組織づくりや人財育成に携わってきました。その現場で感じるのは、いま職場で起きている世代間ギャップの本質は、単に「若者の価値観が変わった」ということではない、ということです。
問題は、上司が「自分がうれしかった言葉は、部下もうれしいはずだ」と思い込んでしまうことにあります。
「頑張ればいい車が買える」は響かない?
かつての日本企業には、比較的わかりやすい成功モデルがありました。
一所懸命働く。出世する。給料が上がる。いい車を買う。家を買う。
もちろん、すべての人がそうだったわけではありません。しかし、「経済的に豊かになること」が仕事を頑張る大きなモチベーションになった時代は確かにありました。
その時代を生きてきた上司が、
「若いうちは、とにかく働け」
「頑張れば、いい車だって買える」
と部下を励ますのは、ある意味では自然なことです。
本人に悪気はありません。むしろ、「若手に頑張ってほしい」という善意から言っているのです。
ところが、この「善意」が厄介なのです。そして、問題は「車」ではありません。
「自分が欲しかったものは、相手も欲しいはずだ」という思い込みなのです。


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