ロシアのプーチン大統領が8月13日、2000年の就任以来、初めて北方領土に足を踏み入れた。この歴史的訪問の狙いは何なのか。今後の東アジア情勢にどのような影響を与えるのか。
最初に押さえるべき重要な点がある。今回プーチンは日本側からかつてないほどの猛烈な反発を招くのを承知で、択捉島訪問に踏み切ったということである。軽々に決断できることではない。これは、プーチンにとって、北方領土問題がもはや対日関係において、最大の懸案ではなくなったということだ。
プーチンは北方領土問題に取り組む意思を放棄した
別の言い方をすれば、これまでさまざまな思わせぶりな言動で日本側を翻弄してきたプーチンが得意の「領土カード」を自ら放棄し、領土交渉を一方的に封印したことを意味する。
領土カードで記憶に新しいのは、18年11月のシンガポールでの日ロ首脳会談で、プーチンが当時の安倍晋三首相との間で、平和条約締結後の歯舞、色丹2島の日本への「引き渡し」を明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させることで合意したことだ。
領土問題をめぐり対日譲歩で解決する意思をちらつかせて日本側を揺さぶり、経済面で譲歩を引き出そうという戦略だった。これは事実上の2島返還での決着論と言えるものだが、結局、合意は成立しなかった。
その後、領土カードは22年2月に始まったウクライナ侵攻で封印されていたが、今回の択捉島入りは、プーチンが領土問題に取り組む意思を失ったことを明確に示した。日ロ関係において歴史的転換と言えるだろう。


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