「日本の夏は蒸し暑く耐えがたい」。これは東アジアでは長く共有されてきた常識だった。ところが2026年夏、その常識が揺らぐ事態となった。韓国ではソウルの気温が40度近くまで上昇し、南部では40度を超える地域が相次ぎ、「日本より暑くなったのか」と驚きの声が上がった。
韓国で猛暑のことを「暴炎」(ポギョム)と呼ぶ。この言葉だけで火の中に投げ込まれたような感じがするが、決して誇張ではない。
2026年8月上旬、ソウルの最高気温が39度前後に達する状況が続き、夜間も30度を超える状態が観測された。筆者は8月上旬にソウルを訪れる機会があったが、友人からは「来ないほうがいい」というアドバイスまでもらうほどだった。

それもわかる。韓国では南東部、中でも慶尚(キョンサン)南道の梁山(ヤンサン)が突出している。7月29日に40.3度を記録し、釜山でも122年の観測史上最高気温を更新した。
梁山ではその後も40度超が続き、8月2日には42.5度に達した。これは韓国で気象観測が始まった1904年以降の全国最高記録となった。日本の気象庁によれば、日本での観測史上の最高気温は41.8℃だ。群馬県伊勢崎市で2025年8月5日に記録されたものだ。
梁山でこれほどの異常高温となった背景には、朝鮮半島東側から吹き込む風が太白山脈を越える際に乾燥・昇温するフェーン現象などがある。さらに高気圧が強く張り出して熱い空気が滞留したことも挙げられる。
李在明大統領は8月4日、今回の猛暑を「国家災害事態」と位置付け、迅速な暑さ対策を指示した。
ドローンで警戒呼びかけ、プロ野球も休止に
異常な高温の影響が社会的弱者に襲いかかるのは、どこの国でも同じだ。8月8日に韓国の経済紙大手『毎日経済』が疾病管理庁の数字を引用して報道した内容によれば、5月15日から稼働した熱中症監視システムを通じて把握された熱中症の累積患者数は3089人。 累積死亡者は26人となった。
患者を年齢別に見ると、65歳以上が35.1%で、屋外(74.9%)での発症が大部分を占めた。
このため韓国では、農村部で高齢者を守るために熱画像カメラとマイクを搭載したドローンを飛ばして農作業中の人を確認し、「猛暑注意報が出ています。どうぞ家でお休みください」と異例の呼びかけを行っている。さらに携帯電話にも、警戒メッセージを一斉発信している。
記録的な猛暑によってプロ野球の試合も相次いで中止となった。8月4日には観客が暑さで体調を崩し、試合が一時中断される事態が発生したことがきっかけだった。
これを受け、韓国野球委員会(KBO)は8月7日から計5日間の「猛暑休み(リーグ中断)」を取り、8月11日に再開された。再開後の試合には、十分休養を取った各チームのエース級の投手が先発し、ファンを喜ばせたという。


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