甲状腺機能低下症は代謝の低下や脂質異常を起こしやすいため、コレステロール値や肝機能の数値の異常として表れることがある。
「健康診断で、コレステロール値の上昇や、ASTやALTなどの上昇を指摘されたら、甲状腺機能検査を受けていただくといいでしょう」(渡邊医師)
症状があったり、健康診断で甲状腺の問題をうかがわせる異常値が見つかったりした場合、どこを受診すればいいのだろうか。
「疑いがあれば、放置しないことが大切。とはいえ、疑いの段階で甲状腺の診療科を受診することは一般的には難しいことも多いと思います。まずは鑑別診断のため、一般内科などかかりつけ医で相談するとよいでしょう」(渡邊医師)
受診した先で、血液中の甲状腺ホルモン(FT4とできればFT3)とTSHを測定し、異常があれば甲状腺の診療科のある医療機関に紹介してもらおう。紹介先ではこれらの検査に加え、橋本病の自己抗体検査や超音波エコー検査を組み合わせて、確定診断することになる。
内服薬で甲状腺ホルモンを補充
治療の基本は、不足した甲状腺ホルモンを補うホルモン補充療法だ。甲状腺ホルモン剤であるレボチロキシンを1日1回、内服する。
「副作用がほとんどなく、安心して服用できる薬です。おおむね2週間くらいで症状の改善を感じられることが多いです。甲状腺ホルモンの低下がひどく、つらい症状をいくつも抱えていた重症の患者さんでも、内服を始めると症状が改善していきます」(渡邊医師)
最初は1~2カ月ごとに通院して血液検査を行い、甲状腺ホルモンやTSHの値を確認しながら、薬の投与量を決める。その後は半年に1回程度の通院で経過をみていく。長期的に治療を続けて、コントロールしていくことが大事だ。
妊娠中や妊娠希望者にも甲状腺機能は重要だ。甲状腺機能低下症は不妊や流産、早産のリスク要因でもあるためだ。甲状腺ホルモンは妊娠中の胎児の成長を促す重要な働きもする。そのため、妊活中や妊娠中であれば、一度は甲状腺の検査を行っておくと安心だ。
そのうえで、冒頭で解説した潜在性甲状腺機能低下症が見つかった場合、軽度でも治療を行ったほうがいい場合がある。ホルモン補充療法を適切に行えば、通常と変わらない妊娠出産が可能だという。


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