一般的な健康診断には甲状腺機能検査が含まれておらず、人間ドックでもオプションでオーダーしなければ甲状腺機能検査の機会はほとんどない。
渡邊医師は甲状腺を専門に診る医師個人として、「甲状腺機能低下症は症状が表れにくい。成人女性、とくに家族に橋本病や甲状腺機能低下症の人がいる方、妊活中の方や妊娠中の方であれば、一度は検査を受けてほしい」と話す。
「体によかれと思って」が裏目に…
甲状腺機能低下症では、最も多い原因が橋本病という自己免疫疾患であり、発症のきっかけはよくわかっていないため、予防は難しい。
一方で、橋本病以外で起こる甲状腺機能低下症には、海藻類に多く含まれる「ヨウ素」の摂りすぎにより一時的に低下症が悪化するケースもある。ヨウ素は甲状腺ホルモンを作るために必要な栄養素だが、過剰に摂取すると、かえって甲状腺の働きが低下することがある。
ヨウ素を含む海藻類のうち、ダントツに含有量が多いのが昆布だ。体によかれと思い、昆布や昆布茶、昆布水などを大量に摂取していると、一時的に甲状腺機能低下症を起こすことがある。気づかないうちに習慣的に過剰摂取している可能性もあるので注意しよう。
昆布を連日、大量に食べるのは避け、少量だけ食べる、ときどき食べるなど、過剰摂取にならないようにすることが大切だ。
昆布以外で注意したいのが、ヨウ素を含むうがい薬だという。
「新型コロナウイルス流行時には、感染予防のためにヨウ素を含むうがい薬(ポビドンヨード含嗽薬:がんそうやく)を1日に何度も長期間にわたって使用し、甲状腺機能低下症につながった方が多く見受けられました」(渡邊医師)
昆布やうがい薬の過剰使用による甲状腺機能低下症は控えると改善するため、甲状腺機能低下症の診断となった際には、過剰使用の有無を確認しているそうだ。
(取材・文/石川美香子)

渡邊奈津子医師


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