ドモホルンリンクルの販売は順調に伸び、会社は具体的な売り上げ目標を100億円と掲げ、社員を鼓舞した。
「当時のオペレーターは、営業成績が上がるほど、報酬も上がったそうです。そうなると、とにかくアウトバウンド(営業)でどんどん電話をかけて、契約を獲得しようというモチベーションが働きます。
その結果、行き過ぎた電話セールスを引き起こし、お客様から大量にクレームと返品が寄せられたのです」
ドモホルンリンクルのイメージの一つとしてあるのが、「電話勧誘が強引だ」というものだ。実際に筆者が周囲に聞いてみたところ、「母がしつこい電話勧誘を受けた」と記憶している友人もいた。
そうなると、いくら商品が良かったとしても、「電話勧誘が嫌だからお試しセットすら使いたくない」となりかねない。
「当時の売上の7割以上が、アウトバウンドによるものでした。しかし、このままではお客様の信頼を失いかねない。そこで西川通子の決断により、アウトバウンドを3カ月完全に停止し、会社の軌道修正を図ったんです。
これを私たちは『TM(テレマーケティング)改革』と呼んでいます」
約20万人いた会員にお詫びと、改善への思いを綴った手紙を送った
まずは電話営業を停止し、社員への再教育を徹底。お客様目線に立った対応のため、毎日研修を繰り返した。営業成績によるインセンティブ制度も廃止し、お客様のクレームにすべて目を通す「お客様満足室」を社長直轄の部署として会社の中心に設置した。
当時約20万人いた会員に対し、通子氏自らが全員に、これまでの姿勢に対するお詫びと、改善への思いを綴った手紙を送ったという。
当時返品された商品の山は、本社の玄関に今でも展示されている。
「一連のTM改革を実施すると、アウトバウンド自粛により一時的に激減していた売り上げは、一気に回復したそうです。お客様から寄せられたお叱りも、『そんなに押し売りしなくても買うのに』『商品は気に入っているのに、そんな自信のない売り方をするなんてもったいない』というお声が多かったと記録されています」


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