漢字には、発音と意味は同じだけれど字形が違うというグループがあって、そのうち多くの人が使い、社会に定着しているほうを「通用字体(つうようじたい)」、それと違うほうを「異体字(いたいじ)」とか「別体字(べったいじ)」と呼びます。
ただし、通用字体と異体字をどのように区別するか、その判定にははっきりとした基準がなく、それぞれの形が社会でどれくらい使われているか、相対的な判断に基づくこともあります。
さらに、通用字体が時代によって違うこともあって、たとえば「群」と「羣」はどちらも「むれ」という意味を表し、「グン」と読みますが、《羊》と《君》の配置が上下になったり左右になったりします。
このペアについて、中国最古の漢字字書(西暦100年頃)で今も漢字研究の聖典とされる『説文解字(せつもんかいじ)』(許愼撰:きょしんせん)では、「羣」が見出し字とされ、「群」は載っていません。
今は「群」が通用字「羣」が異体字
ところが北宋時代(1014年)に作られた『玉篇(ぎょくへん)』という字書では、「群」が見出し字にされ、「羣」がありません。さらに清代の『康煕(こうき)字典』では、「群」を見出し字としており、この字書が皇帝の命令で作られ、後世の漢字の基準となったので、今は「群」を通用字、「羣」を異体字と考えます。


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