三重県の伊勢市駅から緑豊かな道を自動車で1時間ほど走った先に、その集落は存在します。三重県南伊勢町の集落・道行竈(みちゆくがま)は人口が32人で、そのほとんどは70代以上の高齢者。しかも介護施設に入っている人などもいることから実際に居住している人口はこれよりも少ないとみられています。
東京大学に入って1年目の夏、大学の課外活動プログラムの活動先として、私ははじめてこの集落を訪れました。訪問前は「限界集落」という言葉から想像するに、暗く、重い空気が流れているものと考えていました。しかし、実際の姿は少し異なっていました。
リアス海岸の一角に佇む限界集落
住民の方にまちを案内してもらうと、今にも崩れそうな建物や雑草だらけになった耕作放棄地が目に入ってきました。
しかし、それらを紹介する目はなぜか輝いていました。彼らは自分の生まれ育った集落を愛し、過去のストーリーを私たちに教えてくれました。
「この集落はかつて平家の落人たちが戦いに敗れ移り住んできた歴史があります。漁業を認められていなかった人たちは、塩作りで生計を立てるようになったそうです。道行竈の『竈』は塩を製造する竈からきていると言われています」
リアス海岸の入り組んだ海岸地形と穏やかな海、そして集落が山道を越えた先にあることなど、そのストーリーと街の風景には深いつながりがありました。
(平家にまつわる集落の歴史については同日公開の別記事で詳報しています)


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