ただ、お酒造りのプロジェクトは稲を育てて終わりではありません。酒蔵は南伊勢町内にはないため、この酒米を日本酒にしてくれるところを探さなければなりませんでした。
プロジェクトは始まったばかり。売れるかどうかもわからないお酒を、小さな集落の有志がお願いしたところでなかなか受け入れてもらえません。また、使用した稲が『神の穂』という当時まだ新しい品種であったことから「うちではうけられない」と何軒回っても断られたといいます。
「そんな中、他の集落からプロジェクトに参加していたメンバーのご縁で、伊賀にある酒蔵・若戎酒造さんにお願いできることになりました。この酒蔵さんは道行竈のプロジェクトにも賛同してくださり、単なる醸造委託を超えた温かいおつきあいが今も続いています」
こうして、なんとか日本酒プロジェクトとしてスタートラインに立つことができたのです。製造した日本酒はNPO法人チーム道行竈がネットやイベント、店舗等で販売をしています。
集落のみなさんはこの日本酒の販売を通して、道行竈の集落の文化・伝統を広く伝えていくことを目指しています。
商品があれば、外部に向けてアピールがしやすい。パンフレットを渡されるよりも、日本酒を紹介してもらった方が確かに頭に残りやすそうです。
また、“販売するもの”があることで、地域経済における外資が獲得できるという側面もあります。地方経済においては、電力やガスも含めて地域外に所得が流出することが多いため、入ってくる所得を増やすというのは大切なことです。
関東で「限界集落の日本酒」を売る
道行竈の日本酒造りは、2018年のプロジェクト開始以来、紆余曲折を経ながら、地元の人たちの力で、日本酒を販売し、町内の他の集落の人や三重県の人たちに広く知られるようになってきました。
しかし、売れ残る日本酒も一定数あり、特に関東圏での広がりに課題がありました。私が3年前に初めて道行竈を訪れた時に直面したのがこの課題だったのです。


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