私は、NPO法人のホームページや、実際の販売会の様子を一通り見て、「この日本酒おすすめです!フルーティーで飲みやすい日本酒ですよ〜」とアピールする謳い文句に疑問を持ちました。クローズアップすべきは他の側面ではないかと思ったのです。
そこで「限界集落の住民が自ら耕作放棄地を復活させて作った日本酒」として売ってみたらどうなるだろうと考えました。
このコンセプトをもとに東京でのPRを実施した結果、もともと1年で30本程度しかなかった関東圏での販売が、年に100本を超えるまでになりました。
さらに、私が所属する東大の文化祭でも販売したところ、紙コップでの提供で約500杯が完売。想像を上回る大盛況となりました。
「地域活性化」のために求められることとは?
当時あったのが「そんなことがアピールになるわけないんじゃないか」という声や「自虐的な売り方はいかがなものだろうか」という懸念の声です。
私は地域活性化における大きな課題の一つとして、この点が挙げられると考えています。住んでいる人には自分のまちの風景が当たり前なので、それが珍しく価値があるものであるとは考えないのです。
価値は「異なるところ」に発生します。たとえば、道行竈の人たちが当たり前だと思っている住民同士の交流だって、都心に住む人にとっては価値になり得ます。
そしてもう一つ大切なのが信頼関係を築くことです。先ほど示したような「異論」や「葛藤」を受け入れながら、お互いが納得する形でプロジェクトを進めていくことも求められます。
こちらが思うことを一方的に言うのでは、うまくいかないですし、こちらの意見が全く通らない状態もうまくいきません。お互いの信頼を築いた上で、一回やってみよう、チャレンジしてみようと言えるようになることこそが、「地方を元気にする」ための近道なのです。
同日公開の別記事では「平家の子孫が暮らす集落の歴史と祭りの復活」を詳報しています。


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