「けれど今、その伝統ある集落が自分たちの代で終わろうとしています」
空き家や耕作放棄地は増え、人は少しずつ減っていき、新たにやってくる人はほとんどいません。
また、その土地の条件がゆえに病院や買い物などは自動車がなければそもそも行くことが困難です。「集落は好きだけれども、近い将来には都市部への移転を検討している」という正直な声を聞かせてくれる人もいました。
道行竈の人たちはとてもあたたかく私たちを受け入れてくれました。私に限った話ではありません。これまで道行竈に行った学生や移住した方とも交流があるのですが、疎外感を感じたという人は誰もいません。
住んでいる人同士の交流も盛んです。都市部に住んでいると、隣に住んでいる人と話したことがない場合も少なくないと思います。
しかし、このような集落では、お隣さんは当然知っているどころか、窓が開いている日なんかは、外から「おーい〇〇さん元気か〜」と声をかけるのも日常の光景です。100メートルもないような集落の一本道では、すれ違う人は全員が知り合いなので、井戸端会議が自然発生します。まちの時間はゆっくりと流れています。
集落の人たちは、「何十人も来なくていいけど、数人の来訪者がいるだけでこの集落の未来は相当変わるはず」と言います。
道行竈の日本酒造りプロジェクト
集落のみなさんは私にある田んぼを見せてくれました。それが、道行竈のお酒の元になる酒米の田んぼでした。
2018年頃にこの集落の区長が、「自分たちの集落がそのまま衰退していくのを見ているわけにはいかない」と、耕作放棄地を自らの手で復活させたことに始まります。
「田んぼは数年放置しているだけで、根の強い植物が生え、土は固まってきます。ショベルなども使いながら、少しずつ稲を育てられる状態に戻していくのは、本当に大変な作業でしたが、なんとか酒米の栽培ができる状態になりました。次第に区長の取り組みが他の住民にも伝わり、外部の学生や若者などの協力してくれる人たちも増えてきました」


※ログイン後、コメント入力が可能です。