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「EVはエコ」は本当か?推進派・懐疑派それぞれが意識すべき"脱炭素の条件" 製造過程の排ガス、重さはネックになるか?

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EVのイメージ
EVは本当にカーボンニュートラルに貢献するのか(写真:Ryuji / PIXTA)
  • 籾山 嵩 日本総合研究所 創発戦略センター インキュベーションプロデューサー
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では、「EVはカーボンニュートラルに大きく貢献する」と言い切れるのだろうか?

答えはそう単純ではない。なぜなら、EVの環境性能を決定する最大の要因の1つは、自動車そのものではなく、その背後にある電力システムだからである。EVはガソリンを使わないが、電気を使う。結局、その電気が石炭火力によって発電されているのか、あるいは太陽光や風力により発電されているのかによってCO₂排出量は大きく変わる。

ガソリン車はどれほど技術革新が進んでも、最終的に燃料を燃やして走ることに変わりはない。一方、EVは使う電力がクリーンになるほど、それに合わせて環境性能も向上する。つまりEVは、それ単体で脱炭素化する技術ではなく、電力システムと一体となって初めて脱炭素化する技術なのである。

その意味で、EVと再生可能エネルギーは本来セットで議論されるべき存在である。太陽光発電や風力発電が増えればEVの環境価値も高まり、逆に、再生可能エネルギーの導入が進まない社会では、EVの脱炭素効果も限定的になる。EVの環境性能は、自動車の性能というよりも、むしろ電力システムの脱炭素化の進捗によって決まると言ってもよい。EVの未来は、自動車産業だけではなく、エネルギー産業の未来と深く結びついているのである。

もちろん、再生可能エネルギーに関しても発電設備の製造や建設に伴いCO₂が排出されるが、それでも再生可能エネルギーとEVを組み合わせることで、電力の有効活用と移動の脱炭素化を同時に進められる。近年はEVのバッテリーをエネルギーマネジメントに活用する動きも進んでおり、このような動きが再生可能エネルギーの利用拡大を支える可能性が高い。

重いEVは本当に「道路の敵」なのか

また、近年は別の観点からの疑問も増えている。その中の1つが、現在のEVは大容量のバッテリーを搭載するため一般的にガソリン車より重くなりやすく、結果としてタイヤや道路への負荷が従来よりも増えているのではないかという疑問だ。道路は建設するにも維持するにも大量の資材とエネルギーを必要とする社会インフラであり、補修や更新にもカーボンコストが発生する。

確かに、同クラスのガソリン車と比較するとEVは数百kg程度重い場合が多く、舗装への負荷は増加する。この論点は、従来の環境議論が自動車だけに着目していたのに対して関連する社会インフラにまで目を向けている点で意義深いが、過度に強調するのは適切ではない。

道路工学の分野では、舗装への損傷は一般に車両重量そのものではなく、車軸にかかる荷重(軸重)の4乗に概ね比例するとされる(第4乗則)。このため、乗用車同士の数百kgの差よりも、数十トン級の大型トラックが道路に与える影響の方が桁違いに大きい。現時点ではEVとガソリン車のそれぞれが道路やタイヤに及ぼす影響を論じた研究事例が限られているが、今後、EVの普及に伴い定量的な議論が活発化するだろう。

近年の自動車市場ではSUV化が進み、ガソリン車も含めて車両の大型化・重量化が進行しているため、環境負荷やインフラ負荷を考える際には、「EVだから重い」という単純な構図ではなく、「どのようなサイズの車を、どのような用途で利用するのか」という視点を併せて考えることが重要だろう。

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