筆者は、水産業で成長を続けるノルウェーの例をよく挙げます。ところが、そのノルウェーについても誤った情報が広まっています。
一例を挙げます。元水産庁の方の書籍に、ノルウェーで漁獲されるブルーホワイティング(タラの仲間)やニシンでは「漁期前に決定した割当量を超えて漁獲を行うなど、残念ながら日本での評判を覆す状況にある」と書かれていました。
しかし、これは制度の理解が誤っています。ノルウェーの漁獲枠には、次年度からの前借りと繰り越しにより前後10%のアロワンス(許容幅)が制度として認められています。割当量を「超えた」とされる事例は10件ありましたが、平均は割当量の104%。つまり許容幅の範囲内で運用されており、何の問題もないのです。この内容は、事実とかけ離れているため、ノルウェーの関係者が聞いても自国のことだとわからないでしょう。
ところが、別のメディアでは別の方がこの記述を基に「それ見たことか」と批判を重ねていました。誤情報が検証されないまま、孫引きで広がっていく構図です。誤った情報で他国の資源管理を批判すれば、それが国内の改革を進めない言いわけに使われてしまいます。
次々に消えていく魚
サバ、サケ、スルメイカなどの大衆的な魚だけでなく、アマダイ、キチジ、ノドグロ(アカムツ)などの高級魚や、メヒカリ(アオメエソ)のような深海魚も消えていきます。科学的根拠に基づく漁獲枠がないばかりか、そもそも資源量データがそろっていない魚種も少なくありません。
どれだけの資源量があって、どれだけの漁獲量なら持続可能なのかといった視点は不可欠です。ところが日本では、肝心の科学的根拠に基づいた数量管理がなく、漁期や漁具の規制などに頼ってきました。こうした規制だけで資源が守られることは、まずありません。自主管理の成功例が仮にあったとしても、それが約360万トンの日本の漁業生産全体に占める割合を考えれば、ごくわずかであることに気付くはずです。


※ログイン後、コメント入力が可能です。