
では、実際はどうだったのか。上の表は2024年までの実績の比較です。なんと2024年の時点で、世界全体では41%の増加に対し、日本は逆にマイナス32%と、予想以上にその差が広がっています。さらに言えば、2025年(FAOの数字は2024年が最新)の日本の漁業生産量は358万トンと、前年(2024年)の364万トンからさらに減少しており、同じ形で統計を取り始めた1956年以降で過去最低を更新し続けています。政府は2030年までに漁獲量(養殖除く)を444万トンに回復させる計画(水産基本計画)ですが、回復どころか逆方向に進んでおり、悪化は加速しつつあります。
日本では水産資源管理に対する正しい「教育」が行われてこなかったので、「数量管理」に抵抗する傾向があります。身近な例が、昨年(2025年)末にスルメイカの漁獲枠で2度にわたって行われた増枠です。せっかく資源が少しだけ増えたところで漁獲枠を広げてしまえば、回復の芽を摘むことになります。政治圧力で芽をつぶしてしまう構造です。筆者は、こうした判断が生まれる背景にも、資源管理に関する情報の共有の問題があるとみています。根本原因は、政治家に資源管理に関する正しい情報が提供されていないことです。
日本国内のデータだけを見ていると、個々の魚種の減少について「原因はよくわからない」というあいまいな逃げの説明で済まされがちです。しかし、世界と比較すれば日本だけが例外的に減っていることが一目瞭然となり、そうした言いわけは通じなくなって「目が覚める」ことになります。筆者が世界との比較を重視するのは、日本の減少が国際的に見ても例外的であることがわかるからです。
世界全体では増加予想なのに日本のみマイナス
上の表は、FAOによる世界の漁業生産量について、2024年と2034年を比較した予想数量です。100万トン以上の漁業生産量がある国を対象としています。世界全体では10%の増加予想ですが、マイナス7%を示しているのは日本のみです。なお、対象を50万トン以上の国まで広げても、ほかにマイナスは南アフリカ(マイナス2.3%)があるだけです。日本は将来にわたり最も悲観的に見られています。
しかしながら、これほど突出して漁業生産量が減少しているにもかかわらず、「日本の資源管理は世界の水産学者に高く評価されている」といったメディアの報道があります。こういった間違った前提で教育を受けてしまう学生がいることを懸念しています。


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