第3に、危機管理広報の研究では、危機の性質によって適切な対応の型が異なるとされる(※4)。
危機は「被害者型」「事故型」「予防可能型」の3つの類型に大別される。
今回の地震は被害者型とされ、被災者への共感の表明と実務的な情報提供に徹する対応が最も評価されやすい。装飾を削ぎ落とした形で伝えることが信頼を得やすい型であり、BGM付きの演出は本来この型と相性が悪い。
なお、共感の表明と実務的な情報提供は、危機の種類を問わず、あらゆる対応に共通する“土台”となる。
事故型(意図しない技術的ミスなど)はこの土台に加えて、「弁明・正当化」(不可抗力だった事情の説明、被害の軽さの強調など)を上乗せする対応が評価されやすく、予防可能型(組織の落ち度や不正など)は、「謝罪・補償」など、責任を引き受ける強い対応を上乗せすることが必要とされる。
3つの類型のうち、この土台だけで十分とされるのは被害者型だけである。
そもそも、様式は中身よりも先に、無意識のうちにほぼ自動的に処理されてしまうことが知られている(※5)。実際、木原官房長官が“言葉”による説明を行ったのは動画公開から2日後の8月5日で、その頃には今回の動画様式への違和感や、「自分本位」という解釈がすでに固まってしまっていたことになる。
「自分本位」と解釈された炎上はたびたび起こっている
「配慮の向き先が自分本位と解釈され、様式が炎上を招く」という現象は、この数カ月だけでも繰り返し観察されてきた。れいわ新撰組の山本太郎前代表が引退表明の会見で見せた笑顔が「不気味だ」と話題になり、党内向けの文書も詩的な改行や砕けた結びが「アイドル気取り」と酷評された。
お笑いコンビ・鬼越トマホークの良ちゃん氏は、言葉では誠実に謝罪しながらカジュアルな服装で登場し「謝罪する気がない」と炎上した。俳優・高畑裕太氏が公表した2740字の声明文も、顔の見えないテキストのみの形式が不信感を長引かせる一因になったとみられる。


※ログイン後、コメント入力が可能です。