さらに興味深いのは、この批判の渦中にありながら、身だしなみに対しては前述のとおり真逆の評価が生まれていたことだ。
8月4日にXに投稿された、熊本県民だというユーザーのポストは、迅速な視察と激甚災害指定への感謝をつづったうえで、「個人的に好感度上がったのはメイクがTPOに合っていたこと」と述べており、8月8日時点で3.1万件の「いいね」、82万件の表示を集めている。
動画は炎上し、身だしなみは絶賛されるーー同じ人物・同じ視察をめぐって、見た目の要素ごとにこれほど評価が分かれるのはなぜなのか。
その「配慮」は、誰に向けられていたのか
誤解してはならないのは、動画にも身だしなみにも、等しく“見た目への配慮”が存在していた、という点だ。配慮の有無では、両者の明暗は説明できない。
分かれ目を説明できるのは、その配慮が「誰に向けられたものとして受け取られたか」である。
社会心理学には、自己呈示(人にどう見られるかを意識した振る舞い)が見る側にどう評価されるかを扱ってきた研究の蓄積がある(※1)。
そこで明らかにされてきたのは、自己呈示そのものは好悪の分かれ目にならず、「その行為が相手のためか、自分の印象のためか」という見る側の解釈(帰属)こそが評価を左右する、という点だ。相手本位だと解釈されれば好感を、自分本位だと解釈されれば下心と見なされて反感を招く。


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